チュニジアのローマ遺跡の中で最大規模のものの1つが、エル・ジェム(El Jem)にある円形劇場(アンフィテアトルム)。首都チュニスから鉄道で南へ約3時間の距離にあります。
南下するにつれて車窓から見える大地が心なしか乾燥度合いを増しているように感じられましたが、実際駅に下り立って吸い込んだエル・ジェムの空気は茶褐色を帯びていました。乾いています。ただ、円形劇場が建造された3世紀には今ほど乾燥は進んでおらず、この地域のオリーブオイル製造の中心地だったとのこと。流通の要衝として、大円形劇場が建てられるほど繁栄していたようです。
他に目立った遺跡がなく、また、周囲に一切高い建物もないので、35,000人収容の観客席があり、ローマ、カプア(イタリア、カンパニア州)のものに次いで3番目の大きさを誇る円形劇場の威容は一層際立ちました。保存状態も極めて良いのが特徴で、17世紀に一部建築材として用いられたりオスマン・トルコとの戦争で破壊されたりした以外は、ほぼ原型を留めているとのことです。確かに、記憶の中のローマのコロッセオよりもずっと壁や柱がしっかりとしていました。
ロンドンが冬に突入してからというもの、僕の旅は太陽を求めてどうしても南下する傾向にあります。訪ねた国は大半が地中海地方で、するとどうしても一帯を4世紀末までローマ帝国が支配していたのでローマ遺跡を目にする機会が多くなりました。事前にガイドブックを読んだり、Webで調べたりして、10年以上前高校世界史で学んだ知識に付け焼刃的にローマに関する知識を足していってはいますが、やはり「?」と思う場面が少なくありません。せっかくなので、「ローマ人の物語」、今度出張帰国したら買おうかな。
因みにこの記事が記念すべき500個目です。我ながら長続きしているなあ。
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